角松敏生 ’91年 7月作
ALL IS VANITY
諸行無常 と名付けられたこのアルバム ジャケットイメージ通り かなり意味深いものとなっている。
デビュー10年目、湾岸戦争が勃発したこの年 ロスでのレコーディングでテーマとしたのは、「バックトゥベーシック」
70年代のAOR、昔のR&B、初期のJ-POPや歌謡曲までも聴きまくり、録音に臨んでいる。
あらゆる基本に立ち返り捨てる勇気を持ってポジティブに考えて行く、という、当時の角松さんのあり様を表したアルバムとなった。
夜離れ~YOU'RE LEAVING MY HEART~ 酒を注ぐ、煙草に火をつける音で始まるこの曲、ジョーサンプル、ラリーカールトン、ジェリーヘイホーンズの競演を上げない訳にはいかないだろう。
それほどに、クルセイダーズに心酔していたってあらわれなんだろう。そういえば、FM ヴォーグズバーの第1回の1曲目はクルセイダーズ ストリートライフだったっけ。
キーボードで作曲したらしく、こんなジャジーな曲はかつてなかったな。
夏回帰~SUMMER DAYS~ 直球ドまんなかな、ギラギラ太陽輝く夏のテーマソング
海~THE SEA~ こちらもジョーサンプル、ラリーカールトンのまさに競演
この駅から・・・~STATION~ テレビ 旅情サスペンスのテーマにもなったこの曲
ポンタさんのドラムが、いい。 この手のテンポの情感こもった感じがなにげに個人的に好きだったりします。
ただ一度だけ~IF ONLY ONCE~ ウルウル来ます、どうしてですか?角松さん?
ここまでが、いわゆるA面。CDにとってかわったとはいえ、曲の配列にこだわっています。つまみ聴きせず、1曲目から順に聴いていただきたいですね。
ALL IS VANITY 本題である。諸行無常とは、本来、前向きな意味が込められているそう。どうしてももの哀しくあわれな様子しか、いまだに捉えることができないな。もっと聴きこむ必要があるし、私自身、徳を積んでいないから・・・。
UP TOWN GIRL 一転して、森高ソング(笑)
DISTANCE バラード、屈指の名曲 距離は越えられるものですか?飛行機、電話が登場する涙モノのラブストーリー きらいじゃないです。
彷徨~STRAY AT NIGHT~ あまりに辛くて正面から聴くことができないほどに切ない曲
彷徨うだけ、、、これから何を求めればいい?
WHAT IS WOMAN what is the world と、置き換えられるほど壮大な曲、湾岸戦争のニュースで油まみれの鳥が映っているところにインスパイアされたようです。アイロニーのなかに優しさがある。
英詩 サノケンジ (カラパナのベーシスト)
当時、ファンの元にはこのアルバム発売にあたり角松さんの手書きの手紙が寄せられていた。そこには「一人の力で自分自身を救ってあげてください、その積み重ねは世界を救えるでしょう」と結んでいる。
角松さん自身、世界のこととダブルミーニングのようでならない。31歳の角松さんの正直な気持ちだったんだろう。
レコーディングおわり、マスタリングも終わって発売となったが、音質がどうも気に入らず山下達郎さんのマスタリングエンジニア、原田さんを呼んで、リマスタリング。 BVCR-696という品番で、発売し直したという念の入れようだった。
全体に気分としてかなり重い作品となったが聴きごたえという意味でも充分なもので名曲も数多いこのアルバム、バラードが多いんで夜じっくり聴くことが個人的に多いな。
そろそろ、このアルバムの紹介もおしまい、愛聴盤となることを願って